「写真」について

構成台本を書き上げ、投影したい写真の枚数を数えたら、なんと50枚以上になってしまった。果たしてこんなに多くの枚数の写真を使わせて頂けるものなのか、厚かましいお願いだと恐縮していたのだが、快くお貸し下さった。そして、奥様の星野直子さんをはじめ、星野道夫事務所の皆様の多大なるご協力を得て、僕が写真集などでは探せなかった写真も、僕のイメージ通りの写真を探して下さった。その結果、今回の舞台で投影させていただく写真の枚数は、60枚近くに及んでいる。星野さんの素晴らしい写真の数々を、大きなスクリーンで、出来る限りの最高の画質で皆様にお観せしたいと思っております。

写真に関してもう一人、多大な協力を頂いた方がいます。星野道夫さんに影響を受けて写真家になり、現在もアラスカの写真を撮り続けている、自然写真家の松本紀生さん。僕は松本さんの写真展や講演を拝見しているし、情熱大陸で放送された時も拝見した。彼の写真集、「原野行」も持っている。僕の好きな写真家の一人だ。

今回の作品の構成上、どうしても満点の星空の写真が2枚必要でした。でも、星野さんは満天の星空の写真を撮影していませんでした。仕方なく写真を使用しないで行おうと考えていました。でも、ふと松本さんの事を思い出し、もし松本さんが満天の星空を撮影していたらお貸し頂けないものかと考えました。その事を星野直子さんに相談すると、星野さんから松本さんに問い合わせて下さり、その後僕が詳細をやり取りし、満天の星空の写真を2枚お借りできる事になりました。2枚ともシーンにぴったりの素晴らしい写真です。そのうちの一枚は、なんとシーンの状況に合致する、南東アラスカの無人島でクジラを撮影した日の夜に写した、満天の星空の写真でした。南東アラスカの森の中でキャンプをしながら、夜ビーチに出て夜空を仰ぎ見たら、信じられないほどの満天の星空だった・・・そんな写真です。松本さんから写真をお借りできたことで、「悠久の自然 アラスカ」がさらに厚みを増したことは言うまでもありません。

磯部 弘